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2024/11/23(Sat)11:28
オフティエ妄想まっしぐら
2024/11/23(Sat)11:28
2008/11/21(Fri)04:50
8話が放送されるまでしか許されない妄想(笑)
卒論の逃避に書き始めるとどうしてこうも突き進むのか。
(=勢いのみ)
いろいろおかしそうですが、見逃してください。主に舞台とか。
ちょっと糖分が欲しかったんです。
300年後にも不二子ちゃんが健在なのかもスルーで(笑)
アロウズの要人が集まるパーティが催されます、という王留美からの情報通信を受け、CBのメンバーはトレミーを離れ、街へと潜伏していた。
彼女が用意してくれたマンションの一室がアジトとなっている。
「おっと失礼。……って教官殿……? 」
ライルが久々の街を満喫し部屋に戻ると、見慣れない女性が立っていた。
目に飛び込んで来た赤いドレスに慌てて踵を返すが、違和感を感じて振り返る。
「なんだ」
「なんだって……一体どうしたんだ、その格好は」
肩と背中を露出した大胆なドレス。
鮮やかでいて派手になりすぎない、上品な赤色をしている。
胸元も広く開いており、薄い布が慎ましやかに首までを覆っている。その薄く透ける素材から覗く、常にはないはずの膨らみが妙な存在感を放つ。
「君は先ほどのミーティング中に何を聞いていた。今日はアロウズの要人が集まるパーティが開催されると報告したはずだが」
「聞いてたさ。いやいやそうじゃなくて……どうしてそのような美しいお姿に? 」
「隠密行動の基本だろう、その場に馴染む格好をし、決して違和感を与えてはならないと」
そんなことも知らないのかとティエリアは顔を歪める。
「それは知ってるさ。……でも意外だったな。教官殿がそんな格好をするだなんて」
まじまじと、不躾な視線を浴びせる。それを気に留めた風もなく、ティエリアはさらりと言い放つ。
「そんな格好……? あぁこれのことか。どう見ても適任者が僕しかいないだろう。
アレルヤは色恋に堕ちて目も当てられない状態、君に至っては堅苦しいパーティなんてごめんだと言っていたな」
「あーいや、……まぁ、そうだな」
ギロリと睨まれ、肩を竦める。めんどくさいことは勘弁と逃げた身にその視線は痛く突き刺さる。
すまないアレルヤ、助けてやれないと、酷い言われ様をしている仲間に心で謝る。
「4年前の刹那ならまだしも、今の彼ではあまりに浮いてしまう。必然的にこの役回りだ」
「なるほど、ね」
「でもホントに似合うですー。アーデさんキレイすぎるですー」
会話を聞き付けたのか、ミレイナが奥の部屋から出てくる。手にしたメイクブラシをくるくる回しながら、ティエリアをうっとり見つめる。
同じくティエリアの支度をしていたスメラギも、こちらはげっそりして出てくる。
「ホント。なんだか負けた気がするわ……」
あー……と、どうリアクションを返してやろうか悩んでいると、珍しくタイミングよく外から帰ってきたアレルヤが感嘆の声を漏らす。
「うわぁすごいねティエリア!よく似合ってる……ううん、すっごく綺麗だよ」
「それほどでもない。だが知っている」
腰を超える長さになっている髪を煩わしそうにいじりながら、しれっと答える。賛辞に対して本気で何とも思っていないのか、それとも当然だと思っているのか判断がつかない。
アレルヤに続き刹那も部屋へと入ってくる。
「準備はできたか。そろそろ……。美しいなティエリア」
「そうか、ありがとう刹那。君のスーツ姿もよく似合っている。間違いなく美男美女としてもてなされるだろう」
「あぁ俺もそう思う。では先に車へ向かっている」
「わかった今行く。……サポートを頼みます、スメラギ・李・ノリエガ」
淡々と繰り広げられる自画自賛に面食らっていた年長者が一気に顔を切り替える。
「もちろんよ。さ、みんな持ち場に戻るわよ。万が一の場合に備えてね」
皆が部屋から出て行った後、最終確認をしているティエリアにライルは話し掛ける。
「こんなことなら俺がエスコートすればよかったな」
「何を言っている、素人が」
「言っておくが、ダンスの腕前はそれなりだぜ? あぁ、女性のエスコートもかなりのものだな」
商社マン時代に培った接待の腕は伊達じゃない。この顔とあらゆる手管で落とした令嬢は数知れない程だ。
よくよく考えれば結構なはまり役だった気がしてきた。ティエリアの姿を見とめてからの話だが。
「……この格好では自分の身を守るのが精一杯だ。君にまで注意は配れない」
振り向きもせず放たれる言葉は相変わらず手厳しい。
まだそんな風に思われちゃってるのね、と小さくぼやくと「なんだ」と目線で促される。
「いえいえ、精進しなくちゃな、と」
当然だと言わんばかりの顔をしたティエリアが護身用の銃を手にする。
普段使っているものより一回り以上小型の、四角に近い形状のそれを、入念にストッパーがかかっていることを確かめ、スカートの中に収める。
スリットをぞんざいに肌蹴させ、ガーターベルトに銃を挟みこむ。どこぞの女怪盗のような動きに、ライルは笑った。
「つーか逆にマズいんじゃないか? この透け胸と……足もだな」
「まさか銃の存在が見えてしまっているのか!?」
「いや、それは別に大丈夫だ。そうじゃなくてその透け感がどうにも」
「どうにもなんだ」
「どうにも……エロいだろ。いっそ生肌出しててくれた方が健全なほどに。思わず凝視しちまう」
隠さず、盛大に舌打ちをし、ティエリアは溜息をついた。
ニヤついたライルに一瞥をくれ、最低だなと罵る。
「君に問うた自分が愚かだった。全くくだらない、何をいうかと思いきや……。君も早く持ち場に就け」
君の手抜かりでこちらに何か起こったら許さないと睨みつけ、部屋を後にする。
「ティエリア」
滅多にライルから呼ばれない名で呼ばれ、一瞬ドキリとする。
「綺麗だよ」
反射的に振り返ってしまったことをティエリアはこんなに後悔したことはない。
嫌になるほどにいい笑顔で、だが目だけは射抜かれそうなほどに強く見つめられていた。
皆に先ほどまで賞賛されていた言葉と同じなのに、やけに気恥ずかしく感じる。
「……知っている」
思わず視線を逸らし、逃げるように歩き出す。
「ま、普段も十分美しいけど」
ライルが歩調を合わせ、ティエリアの横にぴったりついて歩く。ヒールのせいで振り切ることが敵わない。
慣れないヒールがこんなに煩わしいとは思わなかった。そもそも慣れなくていいが、と苦々しい気分になってくる。
普段と違う目線もどこか落ち着かない。同じ高さにある瞳に訳もなく焦燥が募る。
この男はどこまでついて来る気なのか、マンションの廊下はどうしてこんなに長いのか、エレベーターがすぐに来るように、とひたすら頭で唱える。
「教官殿」
まだ何か用かと振り向くと、腰にするりと手を回され身体を掬われる。
突然のことにヒールでよろめくと眼前に男の顔があり、待ち構えたかのように唇へと食らいつく。
強引な動きに反して、口づけは深まることはなかった。
軽く、強く、ただ唇を押し付けられる。
あまりされたことのない動きに抵抗の仕方を忘れ、呆然と離れていく唇を目で追う。
「ごちそうさま。教官殿にはこれくらいの色味のが似合うぜ」
いつの間に押していたのか、エレベーターの電子音が到着を告げる。
あっさりと身体を解放され、「いってらっしゃい」と口づけではみ出たルージュを軽く拭われる。
目の前のしたり顔で笑う男の、常より赤い唇が憎らしくてたまらなかった。
「……素人が」
No.10|本編妄想話|Comment(0)|Trackback()
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